「最初はリアカーを引く小さな屋台だった」——かつて店主が語ったその一言に、この店の歴史のすべてが凝縮されている。創業当時、豚骨や醤油が全盛を極めていたラーメン界において、あえて煮干しを主役に据える試みは異端とも言える挑戦だった。しかし、エグみや苦味を極限まで削ぎ落とし、旨味だけを抽出する独自製法の確立により、その評価は一変する。
夜更けの路上で湯気を上げる一杯を求めて、人々が集まった。口コミは瞬く間に広がり、やがて店舗を構えるまでに至る。時代の潮流に流されることなく、己の目指す味だけを愚直に追求し続けた創業者の熱意こそが、現在の不動の地位を築き上げた原動力なのだ。