テレビカメラの前で見せてきた穏やかな笑みとは一転、舞台上の彼は鬼気迫る演劇的エネルギーを発散させる。近年の出演作品では、複雑な内面を抱える老商人や時代の荒波に揉まれる父親役など、一筋縄ではいかない難役を次々と体現。「カメラの枠に収まらない、客席の息遣いとダイレクトにぶつかり合う緊張感こそが生きがい」と語る通り、その芝居には劇場の空気を一瞬で変える力がある。
セリフの一言一言に滲む人生の重み。稽古場には誰よりも早く入り、若手キャストとともに身体を動かす。年齢を理由にした妥協は一切存在しない。表現者としての鋭利な感覚は、年を追うごとに研ぎ澄まされているようだ。