そもそも、なぜアメリカ大統領は給与を完全に放棄できないのか。根底には、合衆国憲法に刻まれた重大な統治哲学が存在する。
憲法第2条第1節は、大統領が任期中に給与を受け取ることを規定し、かつ任期中の給与増減を禁じている。これには二つの目的がある。第一に、議会が大統領の給料を削減して兵糧攻めにし、行政権を支配することを防ぐため。第二に、資産家しか大統領になれない事態を避け、給与なしでは生活できない庶民であっても最高権力者の職に就けるようにするためだ。
したがって、トランプ氏であっても額面通りの給与口座振り込みを拒否することはできない。いったん給料を受け取ったうえで、個人の口座から「財務省への寄付」などの手続きを踏む形式をとらざるを得ないのが実情だ。