多くの観光客は、改札を出てすぐ南側の歩道橋からカメラを構える。もちろんそこからの眺望も見事だが、地元に長年暮らす住人が口を揃えて推す「真の絶景スポット」は別の場所にある。
一つ目は、駅北側の高台へと続く住宅街の階段中腹にある小さなポケットパークだ。ここへ立つと、手前の家並みの屋根越しに明石海峡大橋の主塔がシンボリックにそびえ立ち、奥には淡路島の稜線が完璧な構図で収まる。特に夕刻、海が茜色から深い藍色へと移り変わるマジックアワーは息をのむほど美しい。
もう一つの穴場は、大蔵海岸の東端に位置する防波堤プロムナードのベンチだ。駅から連絡歩道橋を渡って南へ徒歩3分。大半の来訪者が砂浜側へ向かうなか、東側の石畳エリアへ足を向けると、波音だけが響く静寂のなかで巨大橋のライトアップを独り占めできる。昼間の輝きとは一変し、真珠を連ねたように煌めく夜の海峡は、地元民だけが知る特別な特等席である。