黄猿ことボルサリーノが初登場した際、誰もが一目で確信したのが「田中邦衛そのもの」という圧倒的な再現度の高さでした。少し垂れ下がった目元、特徴的な口元の歪み、彫りの深い表情の陰影に至るまで、画面から溢れ出る佇まいはまさに銀幕の田中邦衛さんそのものです。
作者の尾田栄一郎氏は、かねてより昭和の東映映画や時代劇をこよなく愛する映画通として知られています。単行本コミックスの質問コーナー(SBS)でも公言されている通り、海軍の最高戦力である「三大将」をデザインするにあたり、尾田氏自身が心から敬愛する伝説の名俳優たちを直接のビジュアルモデルに据えました。
なかでも黄猿は、田中邦衛さんが持つ「何を考えているのか掴ませない飄々とした空気感」と「油断した相手を一瞬で制圧する底知れぬ凄み」が見事に融合したキャラクターです。単なる外見の模倣にとどまらず、役者・田中邦衛が演劇史に刻んできた唯一無二のパーソナリティが、黄猿という人物の骨格を形作っています。