多くのデジタル絵描きが悩む「専用液晶タブレット(Wacom Cintiq等)とiPadの二者択一」ですが、現代の制作現場ではそれぞれの特性を活かした棲み分けが進んでいます。
専用液タブの強みは、24インチ以上の大画面による視認性と、PC向けデスクトップ版ソフトの全機能(ショートカットキーボード、大容量フォント管理、3D素材の高速レンダリングなど)をフル活用できる点にあります。腰を据えて長時間の連載原稿や精密な背景美術を描くには液タブが適しています。しかし、「起動の速さ」「寝転がっても描ける自由度」「直感的なピンチイン・ピンチアウト操作」においてはiPadが圧倒しています。近年ではiPadをメイン機として商業連載を完結させる漫画家・イラストレーターも多数登場しています。
また、iPad特有の「ツルツルしたガラス面への描画感」を克服するために欠かせないのが周辺機器のカスタマイズです。紙に近い適度な摩擦感を生み出す「ペーパーライクフィルム」は、線のブレを抑えて筆圧コントロールを劇的に向上させます。
フィルム選びでは、ペン先の沈み込みと抵抗感が強い「上質紙タイプ」と、摩擦を抑えてペン先の摩耗と画面のギラつきを軽減する「ケント紙タイプ」が存在します。繊細な主線を描きたい方はケント紙タイプが扱いやすく、着脱可能な「マグネット式・吸着式ペーパーライクフィルム」を選べば、映画鑑賞や写真編集時にはクリアな有機EL画面に戻すといった柔軟な使い分けが可能です。