時計の針が午後10時を指す。それまで映画やドラマ、バラエティが独占していたゴールデン・プライム帯のど真ん中に、平日の帯で本格的なニュースをぶつける試みは、開始当初「無謀な自殺行為」とまで囁かれていた。当時のニュースといえば、NHKを筆頭にアナウンサーが無表情に原稿を読み上げるのが絶対の規範。そこに風穴を開けたのがニュースステーションだった。
スタジオには巨大な模型や分かりやすいフリップが登場し、複雑怪奇な政治の派閥力学や国際情勢を、小学生でも直感的に理解できるエンターテインメントへと昇華させた。難解な専門用語を日常の言葉に翻訳し、生活者の目線から権力に疑問を投げかける。この番組の誕生によって、日本の報道番組は「権威から下賜される情報」から「市民が共有する議論の広場」へと決定的な変貌を遂げたのだ。