ピクサーの制作陣は、感情キャラクターを視覚化するにあたり、色彩心理学と形態心理学を徹底的に研究しました。各キャラクターの持つ色と形状には、観客が無意識にその役割を直感できるよう綿密な設計が施されています。
司令部のリーダーを務めるヨロコビは、エネルギーに満ちた黄色の光を放ち、形状は「星」をモチーフにデザインされています。特筆すべきは、彼女だけが青い髪と青い瞳を持っている点です。ピート・ドクター監督が明かしたところによると、これは「ヨロコビの中にも最初からカナシミを受け入れる素地がある」ことを暗示する高度な伏線となっています。
対照的な存在であるカナシミは、水滴や涙のしずくをモチーフにしたブルーのフォルムで描かれ、着ているざっくりとしたセーターは心地よい憂鬱と殻に閉じこもりたい欲求を表しています。物語序盤ではトラブルメーカーとして扱われますが、他人の心の痛みに寄り添い、真の共感を生み出せるのはカナシミだけです。この「ヨロコビとカナシミの相互依存」こそが、シリーズ全体を貫く最大のテーマです。
四角いレンガのような頑丈な体を持つイカリは、激情が高まると頭頂部から炎を吹き上げます。緑色に輝くムカムカはブロッコリーをモチーフに持ち、幼少期の味覚の拒絶から思春期の社交的嫌悪までを幅広くガード。そして細長い神経繊維のように震えるビビリは、常に最悪の事態を想定してライリーの肉体的な安全を死守しています。どの感情も決して無駄ではなく、生存のために不可欠な防衛システムとして機能しているのです。