「病院側には守秘義務があるから、会社が問い合わせてもバレないはずだ」と高をくくる人は少なくありません。しかし、現場の人事担当者や労務のプロは、提出された書類のわずかな違和感から巧妙に事実関係を突き止めます。
第一に、人事部門が注目するのが診断書のフォーマットと記載内容の不整合です。医療機関ごとに発行される診断書には、固有の管理番号、電子カルテシステム由来の印字フォント、公印(角印や院長印)の鮮明さなど、偽造が極めて困難な特徴がいくつも存在します。ネットで拾ったテンプレートを加工した文書や、過去の診断書の日付を書き換えた粗雑な改ざんは、経験豊富な人事担当者の目を通せば一目で違和感を抱かれます。
第二に、不審に思った会社側が踏み切る医療機関への事実確認(裏取り)です。確かに個人情報保護法や医師法上の守秘義務により、病院が「患者の病状や検査結果の詳細」を第三者へ勝手に漏らすことは原則できません。しかし、「その日時に、その番号の診断書を当院が発行したかどうか」という発行事実の有無の照会に対しては、偽造犯罪の防止や確認の観点から回答に応じる医療機関が存在します。さらに、会社が本人に対して「事実確認の同意書」への署名を求めれば、医療機関は法的な制約なく正当に受診歴の有無を開示できます。