同館の滞在価値において中核を担うのが、最上階の7階に位置する湯船群です。なかでもいなとり荘の露天風呂「蒼空(Sora)」は、旅情を刺激するシンボリックな存在として、多くのいなとり荘の宿泊記ブログやフォトジェニックなショート動画で絶えず話題を振りまいてきました。
海抜約30メートルの高さから見下ろす相模灘の景色は、浴槽の縁と外海の水面が溶け合うようなインフィニティ設計が施されており、浴槽に肩まで浸かると自らが大海原へ浮遊しているかのような錯覚を覚えます。湯温は長時間の入浴でも上気しにくい設定が施されており、波鳴りの反響と潮風の抜ける開放感は格別です。特に早朝、水平線から昇る朝日が湯面を黄金色に染め上げる時間帯は、宿泊客の間で「息を呑む瞬間」として共有されています。
源泉は稲取温泉特有の弱食塩泉で、塩分が肌の表面を包み込むため湯冷めしにくく、保温効果に優れているのが特徴。大手旅行誌の専門記者が「波の飛沫の香りとともに湯を味わう、五感刺激型コンテンツ」と評するように、温泉自体の泉質と空・海が織り成す視界の相乗効果が、一般的な旅館入浴とは一線を画する体験価値を創出しています。