多くの親が直面する疑問が、「赤ちゃんと遊んでいる最中の『高いたかい』や抱っこ紐での小刻みな揺れは危険なのか」という点です。結論から言えば、常識的な範囲であやす行為や日常生活の振動によって、揺さぶられっ子症候群が引き起こされることは医学的にほぼあり得ません。日本小児科学会や厚生労働省の啓発資料でも、通常のスキンシップが原因で脳損傷に至ることはないと明記されています。
危険域に達する「揺さぶり」とは、赤ちゃんの頭部が前後に激しく鞭打つように(首がカクカクと音を立てて大きくしなるレベルで)、1秒間に数回以上の猛烈なスピードで連続して前後に揺すぶられる状態を指します。首の筋肉が未発達で頭部が体重の約4分の1を占める乳児期(特に生後6か月未満)において、この暴力的な加速度(せん断力)が加わることで、頭蓋骨の内部で脳が激しく衝突し、血管や神経組織が引きちぎられます。
ベビーカーの段差通過や自動車でのドライブ、バウンサーの揺れといった日常生活の刺激は、頭部を固定した状態で加わる減速・加速運動であり、脳組織を破壊するほどの衝撃力(Gフォース)には到底達しません。良かれと思ってあやしていた行動に対して過剰な自責の念を持つ必要はなく、危険なのは「泣き止まない苛立ちから感情を制御できずに激しく前後に揺さぶる行為」であることを明確に区別する必要があります。