鶏卵が栄養学の現場で「完全栄養食」と称される最大の理由は、人間が体内で合成できない9種類の必須アミノ酸を理想的なバランスで保持している点にあります。アミノ酸の含有バランスを数値化した指標であるアミノ酸スコアは満点の100。白米単体では必須アミノ酸の「リジン」が不足しがちですが、卵を合わせることでアミノ酸の相補効果が働き、ご飯全体のタンパク質利用効率が劇的に跳ね上がります。
さらに卵黄には、脳神経の活性化に不可欠なコリン、強力な抗酸化作用を持つルテインやゼアキサンチン、骨代謝を支えるビタミンD、造血作用を持つビタミンB12が濃縮されています。ご飯が供給する複合炭水化物(主エネルギー源)と卵の良質な脂質・微量栄養素が合体することで、瞬発的な活動エネルギーと持続的な代謝機能を同時に起動させる強力な朝食パッケージが完成するのです。
ただし、唯一の弱点として「ビタミンC」と「食物繊維」だけは卵にも白米にもほぼ含まれていません。完全無欠に見える卵かけご飯も、この2大要素の欠如を放置したままでは代謝の歯車が完璧に噛み合わないという事実を認識しておく必要があります。