本作の魅力を語る上で欠かせないのが、実力派キャスト陣による鬼気迫る演技合戦だ。是枝裕和監督の作品で見られるような自然体でありながら計算し尽くされた間合いと、坂元裕二を彷彿とさせるユーモア漂う毒舌セリフが入り交じる。主演を務めた実力派俳優は、インタビューでこう振り返っている。「毎朝、現場に行くのが怖くもあり、同時に楽しみで仕方がなかった。セリフを『覚える』のではなく『現場で吐き出す』感覚を味わったのは初めてだ」。
さらに、撮影現場での未公開エピソードとして、主要キャスト間での即興演技がそのまま本編に採用されたシーンがある。食卓を囲む日常の場面で、一人のキャストがアドリブで発した一言から生まれた爆笑と沈黙。その一瞬の空気感こそが、本作における最大の感情のクライマックスへと繋がっていく。緻密に計算された脚本とライブ感あふれる即興の化学反応が、観客の心を捉えて離さない。