「アルコールを嗜まない自分がなぜ肝臓病の疑いを持たれるのか」という疑問に対し、消化器専門医や心身医学の臨床現場からは明確な回答が示されています。人間が慢性的なストレスに晒されると、脳の視床下部から副腎皮質に向けて指令が出され、ストレス対抗ホルモンであるコルチゾールやアドレナリンが過剰に分泌されます。
これらのホルモンが血中に充満すると、身体は戦闘態勢に入り、交感神経が極度に緊張します。その結果、末梢血管が収縮して内臓全体の血流が制限され、肝臓への血流量が平常時と比べて30%〜40%も減少することが分かっています。肝臓は酸素と栄養を大量に消費しながら解毒や代謝を行う巨大な化学工場であるため、血流不足に陥ると容易に低酸素状態となり、肝細胞が酸欠で傷つき、細胞内の酵素が血液中へ漏れ出してしまうのです。
さらに、コルチゾールの持続的な分泌はインスリンの働きを阻害し、肝臓への脂肪蓄積を強力に促進します。お酒を飲まなくても、強い精神的プレッシャーを感じているだけで体内では高血糖状態と脂肪蓄積の連鎖が起き、肝臓の実質細胞がじわじわと破壊されていきます。