この議論の背景には、近年のデジタル補聴器技術や人工内耳の劇的な進化に対する世間の関心の高まりもある。かつてのように目立つベージュ色の外殻を持つ機器とは異なり、現代の補聴器具は外耳道深くに収まる超小型タイプや、スマートフォンのワイヤレスイヤホンと見分けがつかない洗練されたデザインへと変貌を遂げた。
聴覚ヘルスケア産業の発展は目覚ましく、アクティブな日常生活を送りながら装着感を意識させない製品が次々と市場に投入されている。仮に現代社会で誰かが補聴器を使用していたとしても、それは眼鏡やコンタクトレンズを使用することと何ら変わらない自然なヘルスケアの選択肢だ。しかし、そうした先端技術への知識不足が、逆に「見えない補聴器をつけているはずだ」という過度な邪推を助長する土壌を生み出してしまった側面もある。