ハナコのネタ作りのシステムが完璧に実を結んだ歴史的瞬間が、2018年の『キングオブコント』制覇でした。この大会で披露されたネタには、彼らの分業制の強みが凝縮されていました。
ファーストラウンドで披露された「犬(捕獲)」のコントでは、岡部が全身全霊で演じる愛嬌たっぷりの飼い犬と、それに翻弄される秋山と菊田の掛け合いが爆発的な笑いを呼びました。ファイナルステージの「掴みどころのない奴(バイト面接)」では、岡部と秋山の巧みな会話劇の背後で、菊田が最小限のセリフと絶妙な表情で登場し、会場の笑いを決定づけました。審査員を務めたダウンタウンの松本人志氏をはじめとするレジェンドたちからも、「菊田の使い方が秀逸」「あえて薄く使うことでコントの面白さが際立っている」と絶賛されました。
そもそもハナコの結成秘話を振り返ると、この役割分担は必然的な巡り合わせでした。ワタナベコメディスクール(WCS)12期生の同期だった彼らですが、元々は秋山と菊田がコンビ「ウエストミンスター」を、岡部が別のコンビ「エナブン」を組んで活動していました。
双方のコンビが解散した2014年、岡部が秋山の高いネタ作り能力に惚れ込み「一緒に組みたい」と声をかけたことがハナコ誕生の契機となります。当時、秋山は既に菊田との関係性や菊田というキャラクターの面白さを誰よりも理解しており、「岡部、秋山、菊田」の3人による新トリオ結成へと発展しました。秋山の構成力と岡部の突破力に、菊田という異質なスパイスを加えるという結成時の青写真が、現在の黄金バランスへと結びついています。