「自覚症状がないから」「痛くないから」と、健康診断でのIgG4高値や軽微な臓器の腫れを放置することは極めて危険です。本疾患の本質は慢性的な炎症に伴う組織の「線維化(不可逆的な硬化)」にあります。
発症初期の「細胞がたくさん集まって腫れている段階(細胞浸潤期)」であれば、ステロイド投与によって元の正常な臓器構造へと回復させることが可能です。しかし、年単位で放置して「組織がカチカチに固まった段階(線維化期)」へ進行してしまうと、ステロイドを使用しても硬くなった組織は元に戻りません。
その結果、膵臓の線維化による不可逆的な重症糖尿病の発症、不可逆的な腎不全による人工透析導入、水腎症による腎機能喪失、あるいは胆管狭窄による二次性胆汁性肝硬変など、取り返しのつかない臓器不全を招くことになります。無症状の段階で異常を拾い上げ、線維化が完成する前に治療を開始することが、生活の質(QOL)を守る最大の防壁です。