甘い草本植物が「果実的野菜」と呼ばれる一方で、その真逆の立ち位置に存在する品目もあります。それが「野菜的果実」と呼ばれる作物の存在です。
代表的な事例がアボカドです。アボカドはクスノキ科の常緑高木に実をつけるため、植物学・園芸学のいずれにおいても正真正銘の「果物」に分類されます。しかし、甘味がほとんどなく、濃厚な脂肪分とコクを持つ特性から、日本の食卓ではドレッシングをかけてサラダに入れたり、醤油をつけて刺身感覚で食べたりと、完全に野菜のポジションで消費されています。
対照的に、赤く熟した果肉を味わうトマトは、ナス科の草本植物に実るため分類上は「野菜」ですが、植物学的に見れば「受精した雌しべの子房が発達した果実」そのものです。さらに、文部科学省が発行する『日本食品標準成分表』では、利用者の利便性を最優先し、一般家庭で主菜・副菜として使われるトマトを「野菜類」、そのままデザートとして食されるイチゴやメロンを「果実類」として掲載しています。管轄する省庁や目的によって分類の視点が異なることこそが、知るほどに奥深い青果の世界の面白さです。