歯固めという言葉は、文脈によって指す対象が異なります。1つは平安時代から続く正月の健康長寿祈願や生後100日〜120日頃に行う「お食い初め(百日祝い)」の儀式そのもの、およびその儀式で用いる歯固め石を指します。昔の日本では「歯が丈夫であること=年齢を重ねても健康で長生きできること(齢を固める)」と同義とみなされ、石のように硬く丈夫な歯が生えることを祈る通過儀礼として定着しました。
もう1つは、乳歯が生え始める時期の赤ちゃんが口に入れて噛むための育児用おもちゃ(ティーザー)です。生後数ヶ月を迎えた乳児は、歯茎を突き破って生えてくる歯の違和感から不機嫌になったり、周囲の物を手当たり次第に口へ運んだりします。この行動は発達上きわめて自然なプロセスであり、安全に噛む感覚を刺激する専用グッズとしての歯固めが幅広く普及しています。