この物語の出典は、古代中国の戦国時代の遊説家たちの言行を集めた史書『戦国策』の「楚策」である。当時、楚の宣王は北方の諸国が楚の将軍・昭奚恤(しょうけいじゅつ)を非常に恐れている理由を側近に尋ねた。これに対し、江乙という人物が答えたたとえ話こそが、「虎の威を借る狐」の原点である。
江乙が伝えようとした本質は明白だ。北方の諸国が本当に恐れていたのは将軍個人ではなく、その背後にある楚の国の強大な軍事力、すなわち「王の権力」そのものだった。権力者自身が「誰が真の力を持っているのか」を見誤ると、自らの威光を下に横取りされ、操られてしまう危険性を示唆している。