テスト対策や読解に直結する、段落ごとの原文(白文)・書き下し文・現代語訳の対照です。一文ずつ意味を照らし合わせながら確認してください。
■ 第1段落:楚の宣王の問いと江乙の登場
【白文】
荊宣王問羣臣曰、「吾聞北方之畏昭奚恤也、果誠何如。」羣臣莫對。江乙對曰、
【書き下し文】
荊(けい)の宣王(せんおう)、羣臣(ぐんしん)に問ひて曰はく、「吾、北方の昭奚恤(しょうけいじゅつ)を畏(おそ)るるを聞く、果たして誠に何如(いかん)」と。羣臣對(こた)ふる莫(な)し。江乙(こういつ)對へて曰はく、
【現代語訳】
楚の宣王が家臣たちに尋ねて言った。「私は、北方の諸侯が(我が国の宰相である)昭奚恤を恐れていると聞いているが、果たして本当のところはどうなのだろうか。」家臣たちは誰も答える者がいなかった。そこで江乙が進み出て答えて言った。
■ 第2段落:虎と狐の出会い・狐の機転
【白文】
「虎求百獣而食之、得狐。狐曰、『子無敢食我也。天帝使我長百獣。今子食我、是逆天帝命也。子以我為不信、吾為子先行。子随我後観。百獣之見我而敢不走乎。』」
【書き下し文】
「虎、百獣を求めてこれを食(くら)ひ、狐(きつね)を得たり。狐曰はく、『子(し)、敢(あ)へて我を食らふこと無(な)かれ。天帝、我をして百獣に長(ちょう)たらしむ。今、子我を食らはば、これ天帝の命に逆らふなり。子、我を以て信ならずと為(おも)はば、吾(われ)、子の為(ため)に先行せん。子、我が後(しりへ)に随(したが)ひて観(み)よ。百獣の我を見て敢へて走(に)げざらんや』と。」
【現代語訳】
「虎が多くの獣を探し求めてこれを食べていましたが、あるとき狐を捕まえました。狐は言いました。『あなたは決して私を食べてはなりません。天帝が私を百獣の長(リーダー)に任命したのです。今もしあなたが私を食べれば、それは天帝の命令に背くことになります。もし私の言うことが嘘だと思うなら、私はあなたのために前を歩きましょう。あなたは私の後ろについて見ていなさい。獣たちが私を見て、どうして逃げ出さないことがありましょうか(いや、必ず逃げ出します)。』」
■ 第3段落:虎の勘違いと寓話の結末
【白文】
「虎以為然、故遂與之行。獣見之皆走。虎不知獣畏己而走也、以為畏狐也。」
【書き下し文】
「虎、以て然(しか)りと為(な)し、故(ゆゑ)に遂にこれと行く。獣これを見て皆走(に)ぐ。虎、獣の己(おのれ)を畏れて走ぐるを知らざるなり、以て狐を畏るると為す。」
【現代語訳】
「虎はその通りだと思い、そこでとうとう狐と一緒に歩いて行きました。獣たちはこれを見て皆逃げ出しました。虎は獣たちが自分を恐れて逃げたのだとは気づかず、狐を恐れているのだと思い込んでしまったのです。」
■ 第4段落:江乙の真意・王への進言
【白文】
「今王之地方五千里、帯甲百萬、而専属之昭奚恤。故北方之非畏昭奚恤也、実は畏王之甲兵也。猶百獣之畏虎也。」
【書き下し文】
「今、王の地は方五千里、帯甲(たいこう)百万にして、これを昭奚恤に専属せしむ。故に北方の昭奚恤を畏るるは、実は王の甲兵(こうへい)を畏るるなり。猶(な)ほ百獣の虎を畏るるがごときなり」と。
【現代語訳】
「現在、王の領土は四方五千里もあり、武装した兵士は百万人におよびますが、王はその軍権を昭奚恤一人に任せきりにしておられます。ですから、北方の諸国が昭奚恤を恐れているのは、実のところ王の軍隊を恐れているのです。これはまさに、百獣が虎を恐れていたのと同じことです。」