東京屈指のトレンド発信地として変貌を遂げ続ける恵比寿。感度の高いダイニングが立ち並ぶ路地裏にあって、昔ながらの中華料理を提供し続ける店舗は年々貴重な存在になりつつある。飲食業界全体が人手不足や原材料高騰に揺れる中、暖簾を守り抜く姿勢そのものがひとつのカルチャーだ。
仕込みは早朝から始まる。豚骨と鶏ガラ、香味野菜を寸胴でじっくりと煮込み、澄んだ旨味を抽出したスープ。これこそがすべてのメニューの背骨となる。豪快に立ち上る炎、リズミカルに刻まれるネギの音。過度な装飾のない無骨な空間だからこそ、料理人の腕一本で勝負する町中華の矜持がダイレクトに伝わってくる。