日本の空想と怪奇の歴史において、ツチノコは常に主役であり続けた。そのブームを決定づけたのは、1970年代から80年代にかけてお茶の間を熱狂させた『水曜スペシャル 川口浩探検隊』だ。俳優の川口浩が率いる隊員たちが、ジャングルや鍾乳洞を過酷に突き進む姿に日本中が息を呑んだ。隊長が「いたぞーっ!」と叫び、カメラが揺れる演出は、大衆の冒険心を激しく煽った。
時を同じくして、テレビプロデューサーの矢追純一が手掛けた数々の怪奇番組や、書籍『幻のツチノコ』の出版が追撃する。怪奇現象やオカルト・都市伝説は、単なる子供の玩具ではなく、テレビ黄金期を支える巨大なコンテンツへと成長を遂げた。一見おどろおどろしい未確認物体の探求は、昭和の日常に潜む最高峰のエンターテインメントだったのだ。