編集部がデザイン現場の制作進行担当者やフリーランスイラストレーターを対象に行ったヒアリング取材では、華やかな水中ビジュアルの裏にある意外な苦悩が浮き彫りになりました。
都内の制作会社に所属するアートディレクターの手記によると、海の中イラスト背景フリー素材を流用したバナー広告制作において、「クライアントから『素材サイトの青色がくすんでいて、自社の夏向けコスメの清涼感が伝わらない』と差し戻しを受けるケースが頻発した」といいます。多くの無料素材は一般的なRGB空間で汎用的に作られており、特定商品のトーン&マナーに合わせたカラーグレーディングを施さなければ、広告効果を発揮しにくいという実情があります。
また、クリエイターコミュニティやSNS上の検証投稿で目立つのが、「複数の無料素材をコラージュした際の強烈な違和感」です。たとえば、サンゴ礁イラストフリー素材を海底に敷き、その上部にイルカ海の中イラストを泳がせた際、光源の角度(太陽の位置)や被写界深度のボケ味がバラバラになり、切り貼り感が露呈してしまうトラブルです。現場のデザイナーは「別々の配布元からダウンロードした素材を合成する場合、全体に単一のオーバーレイレイヤーを乗せてカラートーンを統一し、光軸を揃えるレタッチ作業が必須工程になる」と証言しています。
さらに、海の中魚イラスト商用利用をめぐる規約問題も深刻です。知恵袋やデザイン系フォーラムでは「商用フリーと記載されていた素材集の中に、第三者の写真集からトレースした疑いのある熱帯魚イラストが混ざっていた」というトラブル報告が散見されます。配布サイトの利用規約や著作者情報の確認を怠ると、予期せぬ権利侵害リスクに巻き込まれる危険性があることを肝に銘じておく必要があります。