館内の白眉ともいえる場所が「セント・ラファエル礼拝堂」だ。天井高十数メートルに及ぶ壮大な空間には、壁一面に精巧なアンティークステンドグラスが嵌め込まれ、神聖な空気で満たされている。ここで毎日定期的に開催されるパイプオルガンとアンティークオルゴールの生演奏は、まさに魂を揺さぶる体験といっていい。
設置されているオルガンは、数千本ものパイプが複雑に組み合わさった歴史的銘器。調律師の手によって那須特有の湿度や気温の変化に合わせ、毎日ミリ単位の微調整が施されている。この徹底したコンディション管理があるからこそ、耳の奥に染み渡るような澄んだ和音が保たれているのだ。
演奏が始まると、壁のステンドグラスから透過した極彩色の光と、重層的なパイプの響きが完全に同期する。ただ音楽を聴くのではない。光と音が一体となって身体を包み込む、稀有な共感覚的瞬間がここにある。