映画ジャーナリストとしての視座から、本作がどのような鑑賞者に深く刺さり、逆にどのような期待を抱いているとミスマッチが起きやすいのか、明確な判断基準を提示します。
▼ 本作を心からおすすめできる人
- 山下敦弘監督作品(『カラオケ行こ!』『リンダ リンダ リンダ』等)の独特の間や人間描写が好きな人
- 森山未來の圧倒的な演技力・身体表現の新たな境地を目撃したい人
- 商業主義に毒されていない、作家性と実験精神に満ちたインディペンデント精神あるアニメを求めている人
- 日々の生活や人間関係に少し疲れ、「ちゃんとしなきゃいけない」というプレッシャーから息抜きをしたい大人
▼ 鑑賞に際して注意が必要な人
- 『猫の恩返し』やサンリオ作品のような、ひたすら愛らしく無害なマスコットキャラクターを求めている人
- ハリウッド映画のようなスピーディーな伏線回収と、派手なアクション中心のエンタメ展開を最優先する人
- ロトスコープ特有の、実写トレースによる独特の揺らぎや現実的な動きに強い違和感を覚えてしまう人
本作の真価は、社会的な正しさや親としての完璧さからドロップアウトした者たちが、それでも互いを完全に切り捨てることなく寄り添い合う「適当で優しい距離感」にあります。現代社会が強いる過度な自己責任論や息苦しさに対する、最高の処方箋となってくれるはずです。