甘露寺蜜璃の真価が遺憾なく発揮されたのが「刀鍛冶の里編」です。前半で見せる竈門炭治郎や禰豆子との微笑ましい交流から一転、上弦の肆・半天狗の分身である憎珀天との死闘では、花澤香菜の演技のレンジの広さが遺憾なく発揮されました。
鞭のようにしなやかにうねる日輪刀を操り繰り出される「恋の呼吸」の演舞。花澤香菜は、技名を叫ぶ瞬間の呼気スピードや声の圧力を緻密にコントロールし、華麗でありながら骨太な破壊力を感じさせる絶妙な発声を構築しました。公式イベント「鬼滅祭」のステージで語られたアフレコ裏話によると、憎珀天の放つ超音波攻撃に耐え、自らの限界を超えて痣を発現させるクライマックスシーンでは、スタジオ内の空気が張り詰めるほどの気迫でマイクに向かい、喉が張り裂けんばかりの絶叫を重ねたといいます。
天真爛漫な日常芝居と、命を賭して仲間を守る戦闘芝居。この急激なテンションの落差を破綻なく繋ぎ合わせる技術こそ、花澤香菜が長年のキャリアで培ってきた演技力の真骨頂です。続く「柱稽古編」の柔軟訓練で見せたコミカルな可愛らしさ、そして激動の「無限城編」へと続くシリアスな展開において、彼女の声は物語の感情的なバラストとして機能しています。