始まりは、ある音楽共有プラットフォームにひっそりと投稿された1本のトラックだった。プロモーションは一切なし。アーティストの素顔もプロフィールも不明。ただ、眠たげな目のキャラクターが描かれたイラストだけが添えられていた。
口コミは深夜のSNSを通じて瞬く間に広がった。「聴くだけで信じられないほど深く眠れる」「頭の中の雑音が消える」といったユーザーのリアルな声が、アルゴリズムを刺激したのだ。気がつけば、主要配信サービスの「バイラルチャート」でトップ10入りを果たし、深夜2時から4時の時間帯における再生回数は、既存の有名アーティストを凌駕する異常事態となっている。