最大の脅威は、国際海事機関(IMO)が突きつける厳しい温室効果ガス(GHG)排出規制だ。2026年現在、従来の重油を燃料とする船は、港湾への入港制限や重い炭素税のペナルティを課されるリスクが現実化している。生き残るためには、アンモニアやメタノール、水素といった「次世代クリーン燃料船」への切り替えが不可欠だ。
だが、新型船の建造コストは従来の1.5倍から2倍に跳ね上がる。1隻あたり100億円を超えることも珍しくない。これを数十隻規模で保有する船主たちがすべて代替するとなれば、必要となる資金は天文学的数字に達する。「これまでのやり方では立ち行かない」と、ある中堅船主の幹部は匿名を条件に漏らす。環境対応への投資をためらえば、荷主から選ばれなくなり、市場から退場を迫られることになる。