2026年現在、音楽はより均質化し、アルゴリズムによって最適化されたポップスが溢れている。そんな時代において、藤圭子が放っていた「コントロールできない野生の感情」への渇望が、若い世代の間で急速に高まっている。SNSでは彼女の過去のライブ映像がバイラルし、昭和の歌姫のカリスマ性に驚嘆する声が絶えない。
完璧にチューニングされたボーカルに聴き慣れた現代人にとって、彼女の掠れた、しかし真っ直ぐに心臓を突き刺す声は、ある種の「劇薬」なのだ。そしてその劇薬の成分は、確実に宇多田ヒカルの最新作にもブレンドされている。