パリでのココ・シャネルとの邂逅も、森の背中を押した。シャネルのサロンでフィッティングを受け、「東洋の黒髪にはオレンジが似合う」と言われたエピソードは有名だ。森は自らのアイデンティティを確信し、1965年、ニューヨークで初の海外コレクションを発表する。
そこで発表されたのが、後に彼女の代名詞となる「蝶(バタフライ)」のモチーフだ。シルクの上に舞う繊細でダイナミックな蝶は、西洋のファッション界に大きな衝撃を与えた。1977年には、アジア人として初めてパリ・オートクチュール組合(サンディカ)の会員に推挙される。これは、世界のファッションの頂点に彼女が立った瞬間だった。