メガホンを取るのは、カンヌをはじめ世界的な評価を確立している巨匠是枝裕和だ。繊細な家族関係や社会の影を切り取ってきた彼が、本格的な歴史劇の領域へ踏み込むというニュースは、日本映画監督協会の内部でも大きな話題となった。
是枝監督の演出手法は、現場での即興性やキャストの生の感情をすくい取ることで知られる。巨大なセットと緻密な時代考証が要求される環境下で、その自由な演出スタイルがいかに発揮されたのか。美術や照明の細部に至るまで自然光や本物の素材にこだわり抜く姿勢は、映像の質感そのものを美術品域まで引き上げている。日本映画の古典的美学と、最先端の映画撮影技術の融合。まさに新境地と呼ぶにふさわしい仕上がりだ。