全身の骨、筋肉、内臓を自由自在に変形させる。心臓の位置すら移動させ、脳を砕かれても再生する。この常軌を逸した「生体変化」と「不死身の肉体」こそが、彼の戦闘力の核だ。剣や盾へと自らの四肢を変造し、他者の武器として振るわれることすら厭わない。
だが、この男の真の恐ろしさは肉体の異様さだけにとどまらない。その根底にあるのは、他者の尊厳を踏みにじることに一切の躊躇がない「徹底的な精神の腐敗」である。
弟の肩に寄生するように乗り、相手のトラウマを舌先三寸でえぐり出す。強さをストイックに追い求めた弟・戸愚呂弟とは対照的に、兄には武道家としての矜持など微塵もない。生き残るため、そして相手が絶望に染まる顔を見るためなら、どんな卑劣な手段も平然と選ぶ。死ねない肉体に宿る底知れぬ悪意。これこそが、読者に生理的な鳥肌を立たせる最大の要因なのだ。