結論から言えば、ホテルの許可なくタオルを持ち出す行為は、明確な違法行為である。日本の刑法第235条(窃盗罪)は、他人の財物を不法に領得する行為を禁じており、有罪となれば10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性がある。持ち去られたタオルの金額が数千円程度であったとしても、法的な構成要件としては万引きや置き引きと何ら変わりはない。
宿泊施設は旅館業法に基づき、宿泊客に対して安全で衛生的な滞在空間と設備を提供する義務を負っている。客室内のタオルやバスローブ、ドライヤー、寝具類は、その空間を構成するための「施設の所有物」であり、滞在中の利用権が認められているに過ぎない。所有権そのものが宿泊客に移転しているわけではないのだ。
実際の実務において、タオル1枚の持ち帰りですぐさま警察が駆けつけるケースは稀かもしれない。だが、それはホテル側が顧客関係やレピュテーションを考慮して「穏便に済ませている」だけに過ぎない。近年は悪質なケースに対して、チェックアウト後に登録クレジットカードへ損害賠償相当額を請求したり、顧問弁護士を通じて内容証明郵便を送付したりする宿泊施設が着実に増えている。警察沙汰にならないからといって、許されているわけではない現実を直視すべきだ。