圧倒的なパワーと引き換えに、日本の道路環境で大排気量V8クーペと暮らすには、相応のリアリズムが求められる。まず直面するのが税金だ。排気量5.0リッター超の自動車税(種別割)は年間8万円から10万円前後に達し、毎年の春に確実なパンチを繰り出してくる。任意保険料も車両保険を含めればスポーツカーカテゴリー特有の料率が適用されるため、事前の綿密な見積もりが欠かせない。
気になる実燃費はどうだろうか。最新のマスタングやコルベットは気筒休止システムや10速ATの恩恵により、高速道路のクルージングであればリッター9〜11km/L前後という望外の数値を記録する。しかし、都心のストップ&ゴーに巻き込まれれば、リッター4〜5km/L台への急降下は避けられない。ハイオクガソリンの価格高騰が続くなか、月間1,000kmを走行する場合の燃料代だけで3万〜4万円の支出を覚悟する必要がある。さらに、強大なトルクを受け止める20インチ超の極太ハイグリップタイヤの交換費用は、1セットで20万〜30万円クラス。だが、こうした数値を「走る歓びへの入場料」として割り切れる者だけが、ドアを開けた瞬間に広がる非日常の世界を享受できるのだ。