単なる美容上の悩みと捉えられがちなほくろですが、医療現場において医師が最も警戒するのは「皮膚がんの兆候」です。特に悪性黒色腫(メラノーマ)は進行が早く、早期にリンパ節や他臓器へ転移する極めて悪性度の高い腫瘍として知られています。
日本皮膚科学会をはじめとする国際的な皮膚科学会では、良性のほくろと悪性黒色腫を見極める指標として悪性黒色腫メラノーマ見分け方である「ABCDE基準」を提唱しています。以下の項目に該当する異変がある場合、絶対に美容レーザー等で自己判断の処置をしてはならず、直ちに保険診療を行う一般皮膚科を受診しなければなりません。
A(Asymmetry:非対称性):
良性のほくろは円形や楕円形など概ね点対称ですが、悪性の場合は中心線で分けた左右の形状が歪で一致しません。
B(Border irregularity:輪郭の不規則さ):
良性は境界が滑らかで明確ですが、悪性は境界がギザギザしていたり、毛羽立ったように周囲の皮膚へ滲み出しています。
C(Color variegation:色調の不均一さ):
良性は均一な黒色や褐色ですが、悪性は黒、濃茶、茶褐色、時には赤みや青白さが混ざり合い、色ムラが目立ちます。
D(Diameter:直径の大きさ):
長径が6mm以上(鉛筆の断面の直径が目安)に達しているものは、悪性を疑うスクリーニングの重要な閾値となります。
E(Evolving:性状の変化):
数ヶ月単位で急激にサイズが拡大した、表面が隆起してきた、出血や浸出液が出る、爪の中に黒い筋が現れて幅が広がってきたなどの経時的変化は重大な警戒シグナルです。
医療機関では「ダーモスコピー」と呼ばれる特殊な偏光拡大鏡を用い、皮膚を傷つけることなく表皮から真皮浅層のメラニン色素の沈着パターンを精密に観察します。この段階で悪性の可能性が排除できない場合、確定診断のために皮膚科ほくろ切除手術が保険適用で速やかに実施されます。