家庭でも本場の味を完全再現するための極意を、長年地域の食文化を支えてきた地元の名人に聞いた。アドバイスを提供してくれたのは、伝統の普及活動を行う日本芋煮会協会の熟練メンバーだ。名人が明かす最大のポイントは、具材を入れる順番と火加減にある。
「最高の味わいを生み出す秘訣は、出汁をとる段階で焦らず、里芋の水分と旨味を極限まで引き出すことだ」と名人は語る。まず、下処理した里芋とコンニャクを、水と出汁からじっくり煮上げる。里芋が柔らかくなったところで初めて、お肉と調味料を加えるのが鉄則だ。最初から肉を入れてしまうと、肉質が硬くなり出汁のバランスが崩れてしまうという。
醤油ベース(山形風)の場合は、地元の酒と上質な醤油を贅沢に使い、煮立ち際に牛肉を入れることで肉の柔らかさを保つ。仕上げに斜め切りにした白ネギをどっさりと加え、しんなりした瞬間が食べ頃だ。プロ直伝のこの手順を守るだけで、出汁と食材の旨味が劇的に調和し、至高の一杯が完成する。