ロケーションハンティングの頭文字をとった業界用語であるロケハンは、日常会話で使われる「下見」や「ロケ下見」とは一線を画する。単にロケ地を見て回るだけではなく、技術チームや演出チームがそれぞれの視点から実現可能性を検証する場だからだ。
監督や演出家は構図や光の雰囲気を確認し、撮影技師はレンズの選定やカメラワークの軌道を検討する。さらに録音技師は交通量や風の音といった環境ノイズのレベルを計測し、制作進行スタッフは現地へのアクセス経路やスタッフ全員の食費・宿泊の手配、近隣住民へのご挨拶や自治体への道路使用許可申請といった実務的なタスクをリストアップする。このように、映像表現の理想と現場の現実をすり合わせる高度な調整作業こそが、現代のロケハンにおける核心と言える。