トレンディドラマ全盛期だったフジテレビジョンにおいて、『ひとつ屋根の下』が提示した家族像は極めて異端であり、同時に渇望されていたものだった。バブル経済の崩壊を経て、人々が物質的な豊かさから心の繋がりへと価値観をシフトさせていた時代。野島伸司が描いたのは、血縁や境遇の困難を乗り越えてぶつかり合う、泥臭いまでの人間愛だった。
小梅の悲劇は、家族がバラバラになる危機であると同時に、各々が自分勝手な生き方を捨てて一つの痛みを共有する試金石でもあった。傷口を覆い隠すのではなく、痛みを分かち合いながら共に歩き出す柏木家の姿は、平成という新しい時代を生きる人々にとっての確かな道標となった。