創業は明治39年(1906年)。一世紀以上にわたり、一貫して麹に向き合い続けてきた職人たちの手つきには一切の迷いがない。蒸し上がった米に麹菌を均一に振りかけ、温度と湿度を極微細にコントロールしながら育て上げる作業は、まるで生き生きとした微生物の呼吸と対話するような緊迫感に満ちている。
時代の波に洗われ、大量生産やコスト削減を最優先するメーカーが台頭した時期もあった。だが、彼らは伝統的な蓋麹(ふたこうじ)製法や独自の品質管理を安易に捨てなかった。手作業の温もりとデータ管理の精密さが交差する現場。その頑固なまでの姿勢こそが、現代の健康意識の高い消費者たちを引きつけてやまない最大の武器となっている。