多くの人が混同しやすいのが「ヒップホップ」と「ラップ」の関係性です。結論から言えば、ヒップホップはカルチャー全体の名称であり、ラップはそのカルチャーを構成する表現手法(音楽的要素)の一つに過ぎません。
関係性をわかりやすく例えるなら、「野球(文化・競技全体)」という大きな枠組みの中に「バッティング(個別の技術・表現)」が存在する構造と同じです。ヒップホップという広大な文化の傘の下に、言葉のリズムでメッセージを紡ぐ「ラップ」が位置づけられています。
では、そもそも「ヒップホップ」という言葉にはどのような意味と由来があるのでしょうか。語源を紐解くと、当時のスラングで「気が利いている」「情勢に通じている」を意味する「Hip」と、「跳躍する」「ステップを踏む」を意味する「Hop」が組み合わさった造語とされています。1970年代半ば、グランドマスター・フラッシュ・アンド・ザ・フューリアス・ファイブのラッパーであるキッド・クレオールやラヴバグ・スタースキーが、軍隊の行進リズムを模して「ヒップ、ホップ、ヒップ、ホップ」とスキャットしたフレーズが発端となり、やがてムーヴメント全体の代名詞として定着しました。