バリュー事件は、急成長を遂げていたインフルエンサーマーケティングの世界に冷や水を浴びせ、業界のルールを一変させる契機となった。個人の知名度や好感度をそのまま資金調達に変換するクリエイターエコノミーの可能性が評価される一方で、倫理観やガバナンスの欠如がもたらす破壊的なリスクが白日のもとに晒されたからだ。
事件以降、企業がインフルエンサーとタイアップを行う際の事前審査やコンプライアンスチェックは劇的に厳格化された。単にフォロワー数が多いだけのクリエイターではなく、社会的信用や法令遵守の姿勢が厳しく問われる時代へと舵を切ったのである。
さらに、個人の価値をトークン化して資金を集めるあらゆるビジネスモデルにおいて、事業者の説明責任と購入者保護の仕組みが不可欠であるという認識が定着した。個人の信用を市場で直接マネタイズすることの重みが、この事件によって深く刻み込まれたのだ。