金沢の喫茶文化を語る上で、千利休から脈々と受け継がれてきた茶の湯の精神を切り離すことはできない。かつて武士から町人までが茶の湯に親しんだこの街では、茶葉の茎を丁寧に焙じ上げた「加賀棒茶」が日々の暮らしの真ん中にあった。
現代のカフェマスターたちは、この伝統的な日常茶をクリエイティブなアプローチで再定義している。エスプレッソマシンを使い高圧で抽出した濃厚な棒茶ラテや、24時間かけてゆっくりと甘みだけを引き出したコールドブリューティー。芳ばしい焙煎香と澄んだ琥珀色の液体は、伝統を古びさせず、新しい味覚体験として鮮やかに更新されている。