茅ヶ崎城址公園の最大の魅力は、天守閣や石垣といった近世城郭の派手さとは一線を画す、中世関東特有の「土の城(土塁・空堀)」の精緻な空間設計にあります。木製の散策デッキや案内板が整備された園内では、以下の主要遺構を間近に観察できます。
城の中心部にあたる中郭(本丸相当)は、周囲を高さ2メートルを超える重厚な土塁で囲まれており、侵入者を防ぐ防御壁としての威圧感を放っています。さらに中郭を囲むように配置された東郭・西郭・北郭の配置は巧みで、各郭を区切る空堀(からぼり)は深さ5メートル以上に及ぶ箇所もあり、斜度を活かした堅牢な遮断構造が見事に保存されています。
郭と郭をつなぐ細い通路である「土橋」や、敵の直進を阻む「虎口(とらぐち)」のクランク構造など、中世武士が想定した迎撃シミュレーションがそのまま地形に残されています。木漏れ日の中を歩きながら足元の起伏に目を向けると、数百年前の緊迫した防衛ラインが立体的に立ち上がってきます。