この菓子の正式名称は「龍鬚糖(ロンシュータン)」。その歴史は数百年前の中国・清朝にまで遡る。美食家として名高い第六代皇帝・乾隆帝が、ある日お忍びで訪れた先でこの飴を食し、まるで龍の髭のように細く神聖な美しさに感嘆して宮廷料理人に作らせたのが名前の由来と伝えられている。
中国伝統宮廷菓子としての格式を持つ龍鬚糖は、皇帝の長寿と繁栄を祈願する祝宴の象徴でもあった。門外不出の秘技として継承されてきた技法は、やがて香港や台湾などの職人コミュニティへ伝播し、移民の歴史とともに世界各地の中華街へと広がっていった。古の王族が愛でた優雅な甘美が、現代の日本のストリートカルチャーと見事に共鳴している。