二人の接点は、まさに一枚の布の上に施された繊細な手仕事から始まった。田川啓二が手がけるオートクチュール仕様のビーズ刺繍は、光の角度によって無数の表情を見せる。その圧倒的な立体感と職人技に、アンティークや工芸品に深い造詣を持つ黒柳徹子が魅了されたのは、ある意味で必然だったのかもしれない。
彼が主宰する株式会社チリアの工房では、熟練の職人たちが一針ずつビーズやスパンコールを縫い込んでいく。その妥協なき美学は、黒柳自身が大切にしてきた表現への情熱と寸分違わず重なり合った。単なるデザイナーとクライアントという一線を越え、二人は「美しいものを愛し、残していく」という共通の使命で結ばれていく。