舞台を降りた家庭での守綱は、厳格さと独特のユーモアを同居させた魅力的な父親だった。妻の黒柳朝(ちょう)は、エッセイなどで夫の型破りな芸術家気質と深い愛情をユーモラスに書き残している。愛犬や自然を慈しみ、家中に美しいヴァイオリンの調べを響かせる父の姿は、幼少期の徹子にとって絶対的な美の基準となった。
幼いトットちゃんが小学校を退学になった際も、守綱は娘を責めることなく、トモエ学園への転校を温かく後押しした。娘の個性を誰よりも尊重し、ありのままの好奇心を信じた両親の姿勢こそが、後の大スター・黒柳徹子の揺るぎない土台を築き上げたといえる。