和三盆クッキーが人を魅了する理由|ほろほろ食感の正体と極上ギフト

和三盆クッキーが人を魅了する理由|ほろほろ食感の正体と極上ギフト

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口に含んだ瞬間にほどける「極上のほろほろ食感」は、単なる偶然やイメージ先行の産物ではありません。製菓科学の観点と、何代にもわたり研鑽されてきた職人の手作業が複雑に絡み合った結果です。最大の鍵を握るのは、和三盆クッキーのほろほろ食感の理由となる「グルテン形成の抑制」と「和三盆糖固有の結晶構造」にあります。

一般的なクッキーは、小麦粉(薄力粉)に含まれるタンパク質が水分と結びつくことでグルテンの網目構造が形成され、サクサクとした噛みごたえや硬さが生まれます。これに対し、和三盆クッキーやスペイン伝統の祝い菓子にルーツを持つ和三盆ポルボローネ、フランスの和三盆ブールドネージュでは、生地に卵白などの水分を極力加えず、バターなどの油脂分を粉類全体へ細かくコーティングする製法が採られます。油脂が小麦粉の粒子を包み込むことでグルテンの発生が物理的に遮断され、焼成後に極めて脆く崩れやすい多孔質の構造が完成します。

さらに決定的なのが、讃岐や阿波の「竹糖(ちくとう)」と呼ばれる在来種のサトウキビから作られる和三盆糖の存在です。熟練の職人が盆の上で砂糖を練り上げる「研ぎ(とぎ)」の工程を幾度も繰り返すことで、ショ糖の結晶が驚くほど微細に砕かれます。一般的なグラニュー糖の結晶が約200〜400ミクロンであるのに対し、和三盆糖の微粒子はその数分の一から数十分の一のきめ細かさを持ちます。この超微粒子が口内の唾液に触れた瞬間、摩擦抵抗を感じさせることなく瞬時に溶け広がるため、人は「噛む前にとろけた」と知覚するのです。

名門店ではさらに粉のブレンドにもこだわりを見せています。例えば、手作りにこだわる「清水菓子舗」の配合データを確認すると、原材料にはバター、和三盆糖、粉糖のほか、薄力粉だけでなくあえて強力粉やアーモンドスライスを複合的に配合しています。強力粉の骨格で微小な気孔を支えつつ、アーモンドの油分でさらに口どけを加速させるという、極めて緻密な計算の上に「さくり、ほろり」という奇跡の食感が成立しています。

井上 凛
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井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。