世界が渡辺謙という才能を鮮烈に認知した瞬間。それは2003年公開の映画『ラスト サムライ』に他ならない。エドワード・ズウィック監督が描いた壮大な時代劇で、彼は主人公オールグレンと深く心を調和させる武士・勝元盛次を演じた。
ハリウッドのトップスターであるトム・クルーズと対峙しながら、全く引けを取らない圧倒的な眼光と静かな気迫。互いのキャラクターが敬意を深め合っていくドラマチックなプロセスは、世界中の観客の胸を強く打った。第76回アカデミー賞助演男優賞へのノミネートは、単なる個人への評価にとどまらず、日本の俳優がハリウッド映画界の最高峰で真っ向から勝負できることを証明した歴史的快挙となったのである。