20代後半まで一般企業でスーツを着て働いていたというキャリアは、ハリウッドでも極めて異色だ。だが平岳大自身は「社会の現実や理不尽を経験した時間があったからこそ、人間という複雑な生き物を立体的に演じられる」と語る。型にはまった子役出身のエリート街道ではなく、自ら葛藤し、挫折し、選んだ道だからこそ、その演技には嘘がない。
華やかな成功を収めた現在も、双子の妹・愛香との連絡は欠かさないという。スポットライトを浴びて自分を見失いそうになるとき、フラットな視点で「兄・岳大」という一人の人間を見つめ直してくれる妹の言葉が、彼を常に地に足の着いた状態へと引き戻す。二人が共有してきた過酷な子ども時代と青春の日々が、いまや世界で戦うための最大の精神的防壁となっている。